テックブログ2023-01-31

みんなで行こう、RSGT!〜LAPRASエンジニアチームの参加録〜

ktnyt

LAPRAS株式会社でソフトウェアエンジニアをしていることねです!RSGT2023に参加した方はもしかしたら「Keynoteで英語で質問してたピンク頭の人」と聞けばピンと来るかもしれませんね。去る1/11-1/13の3日間に渡ってLAPRASの(ほぼ)全エンジニアでRSGT2023に参加して参りました。本記事では一人のエンジニアとしてRSGTを骨の髄まで満喫して感じた「組織として参加した」からこそ得られたことと、私自身に起きた変化について文字として記録・共有します。

私が書きました
このピンク髪にピンときたら......

参加の経緯

「RSGT2023に(エンジニア)みんなで行こうぜ!」


LAPRASのエンジニアほぼ全員である14名もの有志がRSGTに参加するきっかけになったのは弊社スクラムマスターの遠藤さんから送られてきたそんな一通のメッセージでした。この誘いがなければきっとRSGTに参加することはなかっただろう、私はそんなどこにでもいるであろうエンジニアの一人でした。それが今ではスクフェス福岡にプロポーザルを提出し「エンジニア以外のメンバーも鑑賞会しようよ!」と呼びかける側になりました。

14名という大人数でRSGT2023に参加することができたのは「幸運だった」と言う他ありません。過去のRSGTに参加していた遠藤さんが昨年、二人のエンジニアを誘って参加していました。その三名が社内Slackで盛り上がっている様子をCTOが見ており、「さてはこれ全員参加させたほうがいいな?」という考えが過ぎったそうです。そして実際に全員の参加にかかる費用を会社負担にできるように根回ししてくださったことで誘われたエンジニア側は「みんなも一緒なら」とかなり気軽に参加できました。一つでも歯車が狂っていたら「エンジニア全員で行く」という計画は頓挫していたでしょう。組織としての懸念は「参加はしたものの、定常業務を停止してまで参加しておいて投資に対して見合うリターンが得られないかもしれない」という点で、これについてはエンジニア陣を信頼してくださった社員の皆様に感謝してもしきれません。

チームとして参加してよかったこと

1. 「みんなが参加するから」という気持ちになれるので参加への心理的ハードルが低かった

きっとこう感じたのは私だけではなかったと思います。どんなに経験者に薦められたとしても、いざ新しいコミュニティに飛び込んでいくのはやはり勇気が必要です。「みんなで参加する」ことで内向的なメンバーでも「いつも一緒に仕事をしている仲間がいるから大丈夫」という心の安全ネットを張ることができ、一歩踏み出す後押しになったのではないかと思います。個人の主観ですが弊社は「みんなでやってみよう」と言われたら「とりあえずやってみる」社員が多いので、それによっていい感じにバンドワゴン効果も働いたのではないかと思います。

品川アジャイル出演の様子
ことね、遠藤、川俣で品川アジャイルさんの放送に飛び入りで出演させていただきました!MCを努めてくださったCREATIONLINEのJKさん、品川アジャイルの皆様ありがとうございました!

2. 振り返りに「社内OST」を行ったことで「参加して終わり」にならずアクションを持ち帰ることができた

最終日のクロージングの後、全員でレンタルスペースに移動して「社内OST」を実施しました。OSTとはいわゆる「コーヒーブレイク」のような時間で、提案されたお題について議論をしたり共通の話題についてわいわいと話をしたりと自由に過ごすことができます。社内OSTは参加者の数が14名と限られていたので決められたお題に限定してOSTを行いましたが、それでも会期中に学んだことや感じたことについて共有し白熱していました。OSTの最後には「月曜日に通常業務に戻ったら実行する具体的なアクション」を共有することでただ「参加して終わり」にするのではなく、3日間で吸収したことを実際に持ち帰って実践することにつなげることができました。

3. 一緒に盛り上がっていたので帰ってからアクションを起こす際の心理的安全性が高かった

「みんなで参加」効果のおかげかカンファレンス中LAPRASの参加メンバーはどのセッションでも積極的に質問をしたり、周囲の人達と会話をしたり、企画に自分から飛び込んでいったりと行動していました。加えて社内Slackや公式Discord上でも交流や情報交換が行われており、みんながそれぞれの方法で「何かしらを掴んで帰るぞ」という姿勢で臨んでいたのが感じられました。そのおかげで社内OSTで設定したアクションを起こす際に他人の目を気にすることなく行動に移すことができました。もし個人として参加していた場合「自分はやる気だけど、他のメンバーはどう思うだろうか」というワンクッションが挟まってしまっていたと思います。チームとして参加したことが「あの場に一緒にいたみんなに否定されることはないはず」という思考を生み、心理的安全性の向上に大きく貢献していました。

Lyssaと会話することね登壇者に直で質問するくまもとさんOSTでトピックを発表するちゃんもろさん

4. Slackを通じて参加中の様子が見えるので参加していないメンバーにも盛り上がりが伝わる

チームとして参加したことでチーム内だけではなくチーム外への影響もありました。Slackにチャットでわいわいできるチャンネルが作られていたのですが、ここでは常時参加メンバーがテキストベースで交流していました。セッションの発表内容についてリアルタイムに議論したり、コーチングを受けてみた感想や知見を書き込んだり、おすすめされた書籍やプラクティスを共有したりと非常に活発に動いていました。参加中のメンバーの写真なども投稿されていたので盛り上がってる様子が参加していない社員にも届いていました。「自分もイベントに参加しに行きたい」と声を上げている方もいましたし、これだけたくさんのメンバーが盛り上がれるのであれば持ち帰ってきたものには一定の価値があると伝わっているのではないかと思います。

参加後に私自身に起きた変化と取り組んだこと

誘われる側から誘う側へ

参加の経緯でも書いたように私はもともと自主的にカンファレンスに参加するタイプではありませんでした。共有したいトピックに合致する小さい勉強会で発表するといったことは経験がありましたが、大きなコミュニティに自ら飛び込んでいくことは稀でした。というのも(信じてもらえないことが多いのですが)基本的に私は内向的な人間で人と関わることでエネルギーを消費してしまうので、エネルギー消費の大きなカンファレンスにはあまり積極的に参加できなかったのです。

実際にRSGTのあとはしばらく人と関われないモードになっていましが、それでもRSGTは「もっとみんな参加しよう!」と言いたくなるほどに心を揺さぶられました。来年もまた参加したいという思いもありますし、すでに Scrum Fest Fukuoka 2023(福岡開催は初だそうです :tada: )で本記事の内容に個人的な経験を交えてお話するトークをしたいと思いプロポーザルを投稿しました。これほどの入れ込み具合になったのはたまたまですが、「みんなで行こう」という最初の声掛けがなければ今はなかったことは確かです。

CREATIONLINEの皆さんとギャザリング!
内向とは......?と思いました?なんと言われようと内向人間です。

コミュニケーションの増加

二日目のLyssa AdkinsさんによるKeynoteセッション「[The Agilists’ Emerging Superpower and Our Planetary Challenge](https://confengine.com/conferences/regional-scrum-gathering-tokyo-2023/proposal/17933/the-agilists-emerging-superpower-and-our-planetary-challenge)」で「組織内の多くの障壁(impediment)は会話によって取り除くことができる」という話があり、「そういえば必要だけど避けている会話があるな」と感じて「しかるべき会話をする」というアクションを持ち帰りました。必要な会話をこなすうちにそれ以外のコミュニケーションも次第に取れるようになっていきました。今までであれば「私が我慢すればいい」と思っていたこともきちんと伝えて相談することができるようになり普段の仕事がしやすくなりました。

ペアワーク・モブワークの推進

RSGTから持ち帰った取り組みとしてペアワーク・モブワークを積極的に行うようになりました。バディワーク(複数人が集まって違うタスクを実施する)、ペアワーク、モブワークの頭文字を取ってBPMと名付けて(ほぼ)毎日一回は開催しています。私個人の意図としてはバディワークは複数人で集まって仕事をする習慣づくりのために、ペアワークは集中して一つのタスクに取り組んだり1on1の相談などのために、モブワークは知見の共有や難しい課題に大勢で取り組むために実施しています。最初はバディワークがほとんどでしたが、ペアでプログラミングやコードレビュー、モブでコードリーディングなどを行う機会も増えて、私以外のメンバーが開催することも少しずつ出てきました。

参加メンバーたちの声

naga3

アジャイル・スクラムをなぜやるのか?という理論の部分と、実際のプラクティスの両面から学ぶことが出来て、ウォーターフォール型の開発手法に無意識に縛られていた自分から少し脱せたような感じがします。

yktakaha4

`アジャイルな組織改善〜手法とマインドセット〜` がよかったです。スクラム開発に限らず、あらゆる場面で大切にすべきことだなと感じました。
https://speakerdeck.com/ishige/aziyairunazu-zhi-gai-shan-shou-fa-tomaindosetuto

KawamataRyo

具体的なプラクティスも数多く学べたのですが、チームで参加したことで各発表を媒体に、チームの皆で組織やプロセス改善への思いを共有できたことが何より良かったです。この熱量を起点に今後、改善を進めていきたいです!

ryo-endo

僕が「開発メンバーみんなで参加する」ことを企画したのですが、それぞれがそれぞれのRSGTを過ごしていてとても嬉しい3日間でした。
LAPRASのメンバーが、各セッションでは積極的に質問をし、ワークショップでは前に出て学び、知り合いを作って飲みに行く。そんな様子を見られたのは推しのコミュニティイベントに誘った僕としては最高の気持ちでしたね。
RSGTが終わった直後から新しい取り組みがいくつかはじまりました。みんながRSGTの場にいたので、新しいことを始めるハードルがとても下がっているなと感じています。(ひとり参加だと現場に持ち帰って新しいことを始めるのにまだハードルがありますよね)
スクラムフェス福岡にプロポーザルを出したい!みたいな声も聞こえてきており、この一年のLAPRAS開発組織の活躍がたのしみです!

nappa

運営しているコミュニティをどうしていくかがクリアになりました(スピーカーの方にお声がけしてお話して)
こういったイベントで積極的にコミュニケーションを取ることはあまりなかったのですが、思った以上に学びがより深くなることを実感しました。次からはもっと積極的に交流していくぞ!

くまもと

スクラム開発がメインテーマではあるもののアイデア創出、コミュニケーションなどチームに関することは全て対象といった感じなのが印象的なイベントでした。個人的には森さんの『プロダクトマネジメントがあたりまえになるチーム』での学びを活かして早速「説明責任の機会」を増やしていきます!

denzow

結局のところ個人の能力が生産性では一番大きな要素と思っていましたが、初めて参加したOSTでの有機的な議論の発展を目の当たりにしいい意味で考えを裏切られました。
足し算ではなく掛け算で生産性を発揮できる組織はあるのだと考えさせられる良い機会となりました。

Chanmoro

コーチズクリニックで仮説検証の進め方について相談させていただいたのですが、仮説をコンセプト・機能・UI の段階で考えることと、それぞれの段階の仮説は何か?今はどの段階の仮説を検証しようとしているのか?を明確にするということを改めて認識できました。当たり前のことに感じるのですが、実際に手を動かしながら進めているとそれが分からなくなってくる場面が多々あったので、今後は今のフォーカスの明文化とチームでの共通認識を作ることを意識して進めようと思います。

nagasako

実際のプロジェクトの生々しい変遷と、そこでぶつかるとても共感できる課題、そしてそれに対する理論から鋭く導かれる解決策たち。聞いていて勇気づけられ、身体に知見が染み込みました。いつか自分も誰かにそういう影響を与えられたらいいな、そのために今やっていることを頑張ろう、と思えました。

takeaship

スクラム開発については書籍を何冊か読み、実務でも年単位で経験しているため理解はしてきているつもりでしたが、それでも両手で抱えきれないほどの学びがありました。

中でも、市谷さんのセッションなどを通して、科学の方法論としての経験主義とスクラム開発が自分の中で結びついたことは大きな腹落ち感を与えてくれました。
科学で実験条件を統制するのと同じように、「スプリント」で区切ることで期間とリズムを統制する。その条件の中で実験を繰り返し結果を観察することで学びを得て次につなげていく。これがスクラムの本質だったんですね。

3日間のセッションや参加者との交流を通して非常にワクワクした気持ちになり、2023年のスタートダッシュを切るのにふさわしいイベントでした。来年もぜひ参加し、定期的にモチベーションを充電していきたいです。

azimicat

参加以前、スクラムは開発の手法の一つくらいの知識しかありませんでしたが、講演を聞き進める中で情熱を持って取り組む日常のプロジェクト全てに適応できるマインドのことなのだと気付かされました。

tkt

色々な学びを得ることができた3日間でした。セッション中に社内メンバーとわいわいがやがやできたのもすごく楽しかったです。
ただ、一番の学びは何だったかと振り返ると、個々のセッションからではなく、3日を通じて実感した「会話すること」の大切さでした。
何かに行き詰まっていると感じたときには、Openに周りとコミュニケーションを取ってみよう。と、改めてそう思わせてくれたイベントでした。

deugi

廊下での雑談を通じて、エンジニアとしてのキャリアや勉強すべきもののスコープと順番についてアドバイスをいただきました。
組織レベルだけでなく、自分自身にアジャイル手法を取り入れることが鍵だと感じました。
短時間の雑談でしたが学びが多く、悩みも解消されました。

rocky

流行り病に感染して欠席してしまいましたが、社内のSlackチャネルを見ているだけでもチームとして得るものが大きかったことが分かりました。
皆で参加することで現場に戻った後も熱量が共有できていることがとても大きいと感じています。

まとめ

チームまるごと参加するメリットとして

  • 参加のハードルが下がる
  • 身のあるふりかえりがしやすい
  • アクションを行動に移しやすい
  • 盛り上がりを伝えられる


の4点が上げられます。また個人としてもたくさんの学びやポジティブな変化があったので、そういった変化をチーム全体で起こせるかもしれないというのも潜在的なメリットの一つだと思います。最後に個人的な想いになってしまいますがチームとして参加するからこそ最初の一歩が踏み出せて、カンファレンス中もカンファレンス後もいい事づくしなので弊社の事例を参考にぜひ「みんなでRSGTに行こう」というムーブメントを起こすきっかけにしていただけたらとても嬉しいです!

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